
新たな舞台での戦いが始まる!新天地で勝負する日本人メジャーリーガーの期待値
3月15日(土)~19日(水)の『MLB 東京シリーズ 2025(MLB Tokyo Series presented by Guggenheim)』を皮切りに2025年のメジャーリーグが開幕。大谷翔平、ダルビッシュ有らの活躍が期待されているなかで、今季も日本人選手が海を渡ってメジャーリーグに挑戦する。いずれも投手で、菅野智之(読売ジャイアンツ)、小笠原慎之介(中日ドラゴンズ)、佐々木朗希(千葉ロッテマリーンズ)、青柳晃洋(阪神タイガース)の4名。各チームではエース級の活躍をしていた面々だ。彼らがどれほどの活躍をできるのか?日本時代の成績やチーム事情、ピッチングスタイルなどから成績を予想していく。※トップ画像出典/Los Angeles Times via Getty Images

世界一の球団でローテーションを狙う佐々木郎希
最も注目を集めているのは、千葉ロッテマリーンズからロサンゼルス・ドジャースへの移籍を果たした佐々木朗希だろう。メジャー契約ができる25歳以降ではなく23歳での移籍を希望し、マイナー契約となったが、その存在感はピカイチだ。ロッテでは令和初となる完全試合を達成するなど、最速165キロのうなる快速球を武器に躍動。昨年は最高球速162キロに留まったが、常時160キロ前後のボールで押し、高速フォークで三振を奪って10勝5敗、防御率2.35という好成績を収めた。
そんな佐々木はメジャーで活躍ができるのか?自慢の速球とフォークはメジャーリーグでも大きな武器になることは間違いないが、相手も一流打者ぞろい。評論家からは「以前より速球の質が落ちており、変化球を見極められてしまうことが増えた」ことを指摘されており、メジャーの強打者を抑えるには大谷が投げるスイーパーのように大きく横方向に変化するボールを習得する必要が出てきそうだ。また最大の懸念となるのは、メジャーにおける先発投手のローテーションだ。メジャーでは中5日登板が当たり前だが、佐々木は中7日での登板が多かったうえにプロ5年間で一度も規定投球回を投げていない。コンディション作りやスタミナ面での課題をクリアしなければ、1軍での登板機会は減るだろう。それでも、ドジャース・ロバーツ監督は佐々木について「6日か7日ごとに投げるだろう」と語っており、投手力の豊富なチーム事情の恩恵を受けることができそうだ。
いずれにせよ、右ヒジのケガを万全にして速球の精度を高め、スタミナをつけることは必須となっていくだろう。渡米後、結婚発表もした佐々木。公私ともに充実の一年にしたいところだ。
円熟味を増した菅野智之は新人王も視野に
読売ジャイアンツからボルティモア・オリオールズへの移籍を果たした菅野智之にも期待が寄せられている。ここ数年ケガに苦しむも、昨年はリーグトップの15勝3敗、防御率1.67と完全復活を遂げた菅野。トレーニングで体のキレが戻ったことでストレートに威力が増したほか、経験値を活かした投球術が光った。
35歳でのメジャー挑戦に、年齢による衰えを心配する声も少なくはないが、オリオールズ先発陣の台所事情がやや苦しい状況もあって、ローテーション入りは確実と言われている。故障さえなければ年間を通じての登板機会に恵まれそうだ。また、菅野の特徴でもあるテンポの良さや制球力の高さもメジャーでは功を奏しそうで、ピッチクロックや球数制限に悩むことなく長いイニングを投げられるだろう。若い有望野手がそろう強力打線の援護があれば、勝利数も伸びて新人王争いに顔を出す可能性も十分にある。
激しい先発ローテーション争いに挑む小笠原慎之介
中日ドラゴンズの左腕エースだった小笠原慎之介は、ポスティング制度でワシントン・ナショナルズに移籍した。
小笠原といえば、クセのないオーバースローから最速153キロの直球を主体に、カーブやチェンジアップで打者を翻弄していくスタイルが持ち味で、スタミナも抜群。しかし、メジャーの一流投手の中では秀でた要素があるわけではないので苦戦する可能性も高い。さらに、マッケンジー・ゴアをはじめとした先発候補が充実しているチームでもあるので、少ないチャンスを活かしてアピールしていく必要があるだろう。それでも首脳陣から「スプリットは独特の軌道をしており十分通用する」と太鼓判を押されており、投球スタイルを柔軟に変えていけば大化けすることもありそうだ。
心配なのは、感情をむき出しにする性格だ。中日時代は調子さえ良ければ打者を圧倒していくが、劣勢になると冷静さを失い、ボールが甘くなり大量失点してしまうことも多かっただけに、メジャーでは“大人の投球”が求められるだろう。
変則右腕・青柳晃洋はメジャー昇格に黄色信号か
阪神タイガースから移籍し、フィラデルフィア・フィリーズとマイナー契約を結んだサイドスロー右腕・青柳晃洋。阪神ファンの期待を背負っている青柳だが、現状ではメジャーでの活躍が厳しいとされている。
なぜなら、かつてサイドやアンダースローの投手は海外ではめずらしく、国際大会で潮崎哲也(西武)や渡辺俊介(ロッテ)らが活躍したこともあったが、昨今のメジャーでは変則投手が増えたこともあり、青柳の希少性はさほど評価されていないからだ。また、青柳はツーシームやスライダーなどの変化球を武器にゴロで打ち取るピッチングスタイルだが、球速やボール自体のキレがあるタイプではないので長打のリスクも大きいと言われている。
そんな青柳がメジャー昇格を勝ち取るために必要なのは制球力だろう。ここ数年は四球の割合も増えて日本でも苦戦した背景があるだけに緻密なコントロールが復活すれば、十分に活躍の余地は残されている。
ドジャース対カブスの日本開幕を控え、日本人メジャーリーガーへの注目度が高まっている今だからこそ、日本時代の肩書きを捨て新天地で勝負を賭けるピッチャーたちの躍動に期待したい。

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