
メジャーで未勝利が続く佐々木朗希ーーここまでの投球と改善策を分析
日本でのメジャー開幕シリーズ2戦目でシカゴ・カブス相手に鮮烈なデビューを飾ったロサンゼルス・ドジャースの怪物右腕・佐々木朗希。しかし、ここまで5度の先発登板をするものの、いまだに勝ち星はつかず。好投している試合もあるが、運にも見放される状況が続いている。今季の登板を振り返りつつ、佐々木が初勝利を挙げるために必要な改善点を分析していく。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

23歳の若さで名門・ドジャース入りを果たした佐々木
日本最速ピッチャー・佐々木朗希が苦しんでいる―。ここまで5試合に先発登板しているが、いまだに勝利を手にしていないのだ。
メジャー契約ができる25歳以降ではなく23歳での移籍を希望し、マイナー契約でロサンゼルス・ドジャースに加入した佐々木。千葉ロッテマリーンズ在籍時は、令和初となる完全試合を達成するなど、最速165キロのストレートを軸にしたピッチングで打者を制圧。昨季は10勝5敗、防御率2.35という好成績を収めて、メジャーへと渡った。順調なオフを過ごして、菊池雄星以来となる日本開催試合でのメジャーデビューを先発マウンドで迎えることに。
メジャー初登板では160キロ台の速球でファンを沸かすが、2回持たずにノックアウト
鮮烈デビューは開幕2戦目に訪れた。シカゴ・カブス相手に豪快なフォームでいきなり160キロをマークした佐々木は、鈴木誠也に対しても真っ向勝負を挑んで空振り三振に打ち取った。しかし、2回以降はストライクが25球しか入らず5四死球を与えるなど、リズムのいいピッチングをできず…。3回1安打1失点で勝ち負けがつく前に降板した。
デビュー戦を振り返り、佐々木は「球速に関しては投げる前から手応えを感じていました。コントロールについては次に向けて修正していかないといけないと思います」と自身の初マウンドを冷静に分析。アメリカに戻ってからの登板に期待が寄せられた。しかし、メジャーの世界はそう甘くなかった。
3月30日、本拠地で行われたデトロイト・タイガース戦に先発登板するものの、1回2/3を投げて3安打2失点で無念の降板。終始コントロールが定まらず、4四死球。61球と球数の異常な多さもあって、またもリズムを作れなかった。
ストレートの制球が安定して好投も、勝ち星に恵まれず初黒星
続く4月6日のフィラデルフィア・フィリーズ戦では、ここまでの反省を活かしたピッチングを見せた。4回0/3を3安打1失点にまとめて2、3回はいずれも三者凡退に打ち取った。この日はストレートの制球がよく、高速で落ちていくスプリットも効果的に決まっていた。この投球を続ければ、初勝利も目の前に…。だが、佐々木の初勝利はまだ遠かった。
4月13日、カブス戦で今季4度目の先発マウンドに上がると、5回4安打1失点と圧巻のピッチングで本拠地のファンを熱狂させた。球数は今季最多の81球で最速は158キロ。敗戦投手となったものの本人にとっても満足のいく内容だった。
初のクオリティースタートも初勝利はお預け
5度目の先発登板となった4月20日。テキサス・レンジャース相手に6回78球を投げ、2安打2失点でメジャー初のクオリティースタートを達成。勝利投手の権利を持ってマウンドを降りるも、チームはサヨナラ負けを喫して、またも初勝利はお預けとなった。
ストレートの制球難に苦しむも、スライダーで打者に的を絞らせらないように
デビュー戦や2戦目の佐々木の投球を振り返ると、制球難が際立った。160キロに迫るストレートは威力こそあったが、あからさまにコースを外れることが多く、その影響から得意のスプリットも見極められてしまっていた。
しかし、3戦目以降からはコントロールが安定し始めた。徐々にメジャー仕様のボールに慣れてきたことも要因だろうが、低めを意識して力まないように投げていることが功を奏したようだ。そのおかげで、スプリットを使って空振りをたびたび奪えるようになった。
また、4戦目以降はストレートとスプリットだけでなく、スライダーも多投するように。打者も狙い球を絞りづらくなったようで打ちあぐねるケースも増えた。ロバーツ監督も「スプリットやカーブ、スライダーを織り交ぜながら、必要なときに速球も使い、6回を投げ切ったのは素晴らしいことだ」と絶賛した。
ストレートの球速が上がらないことで投球を改善
だが、佐々木本人としてはスライダーを多く投げるようになった理由が別にあったようだ。
ストレートの球速が出なくなったのだ。初回はめずらしく150キロに届かないストレートもあり、「僕もちょっとびっくりした」と語ったほど。そこでスライダーを使うことで交わす投球を選んだが、結果的にこの投球スタイルが好投につながったのだ。
日本時代のストレートとスプリット頼みの投球を白紙にして、レンジャース戦のような多彩な球種を使っていくスタイルが佐々木の活躍のカギを握るかもしれない。次戦こそは必ず初勝利をもぎ取ってくれるはずだ。