パラカヌーが題材の映画「水上のフライト」が絶賛公開中 東京国際映画祭では舞台挨拶も開催
来年への延期が決まった東京オリンピック・パラリンピックの競技種目、パラカヌーを題材にした映画「水上のフライト」が公開中だ。東京国際映画祭では先行上映会と舞台挨拶が行われ、主演の中条あやみらが作品への想いを語った。
Thiên nga Junichi
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2020/12/12
キャスト
中条あやみ、杉野遥亮、高月彩良、冨手麻妙 大塚寧々、小澤征悦
監督 兼重淳 脚本 土橋章宏
ストーリー
将来有望な走り幅跳びの選手だった藤堂遥(中条あやみ)は、ある日不慮の事故に遭い、2度と歩けない身体になってしまった。 目標としていた五輪出場の夢を諦めざるを得ない状況に陥り、自暴自棄の日々を過ごす遥だったが、パラカヌーとの出会いによって、新たな希望を見つけていくというヒューマンドラマだ。
©2020 TIFF
この日のMCは、闘病生活から復活したばかりの笠井信輔氏が担当した。
©2020 TIFF
――難しいと言われる競技用のカヌーを乗りこなしての撮影でしたが?
中条:東京国際映画祭が今年も開催できたこと。そして映画祭にこの「水上のフライト」という作品で立てたことが嬉しいです。本当にみんなの愛で出来ている作品。たくさんの人に見ていただいて、皆さん一人ひとりの心に残れば良いなと思います。
競技用のカヌーは、乗るだけでも「1ヶ月はかかる」と言われているもの。あまり長い時間の練習ができたわけではありませんでしたが、「早く乗りこなせるようになって、自分自身で漕いでいる臨場感が、スクリーンに映しだされると良いな」という想いで取り組んできたので、漕げるようになった時は嬉しかったです。
©2020 TIFF
―-続いて、藤堂遥(中条あやみ)のコーチを務める宮本浩を演じる小澤征悦さんが登場。
小澤:まずは東京国際映画祭の舞台に立てて、光栄に思っています。私が演じた宮本は、遥のコーチも引き受けることになりますが、もともとは心に傷を負った子供たちを受け入れ、カヌーを通じて、笑顔が溢れる空間を提供する人。優しさの溢れた役柄を頑張って演じさせていただいたら、本当に優しさに溢れている映画になりました。
ーー公園で子供たちがカヌーを漕いでいる場面も見られますが、競技用カヌーの操作はそんなに難しいですか?
小澤: 私もカヌーは初挑戦。撮影前に練習させてもらったんですけども、僕が漕いでいるカヌーと、中条さんの漕ぐ競技用のカヌーは、まったく違うものでしたね。 一度、競技用のカヌーに両サイドを支えてもらった状態で乗せてもらったんですが、手を離したらすぐに落ちてしまいました。一回転して、どこが上かわからないような状態でしたね。
ーー競技用のカヌーを乗りこなした中条さん見てどう思いました?
小澤:劇中に「水面を渡る風になれ」というセリフがあるんですが、まさにそのもの。空を飛んでいる鳥のように見えましたね。
©2020 TIFF
ーーそして次に「水上のフライト」で監督を務めた兼重淳氏が登場。
兼重:東京国際映画祭に出るのが夢でした。なので本当に嬉しく思います。
今年は新型コロナウイルスの影響で、公開は延期。「悪いことばかりかな?」と感じていましたが、延期したおかげで映画祭にも出演できましたし、悪いことばかりではないのかなと思います。
―新型コロナウイルスの影響で、挫折や人生がうまくいかない方にも力を与える作品になったのではないでしょうか?
兼重:いつも「誰かの背中を押せるような作品になったら良い」という想いで、映画を撮影しています。パラスポーツに関わる皆さんがこの作品を通じて、前向きに生きてくれるようなきっかけになれば良いと思います。
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ーーそして舞台挨拶の最後には、アテネ五輪ハンマー投げの金メダリストで、現在はスポーツ庁の長官を務める室伏広治氏がゲストで登場。作品の感想を語った。
室伏:まずはスポーツの映画を取り上げていただき、ありがとうございます。仲間ととともに人生の苦難を乗り越える。スポーツ素晴らしさや、明るいものが見える映画だったと思います。本当に感動しましたし、皆さんに見ていただきたいなと思いました。
©2020 TIFF
ーー中条さんが競技用カヌーを漕ぐシーンに、室伏長官も驚かれたのではないでしょうか?
室伏: カヌーはもちろん、陸上競技をするシーンでも、ハイジャンパーみたいな高飛びをされていらっしゃいましたし、それまでご経験がないにもかかわらず、それを微塵も感じさせない姿に驚かされました。ご本人の努力やタレント性があるおかげで、スポーツの素晴らしいシーンが撮影できたと思います。
――金メダリストからのお褒めの言葉をいただきましたね?
中条:この言葉をいただけただけで、金メダルですね。
体育大学の学生でも、1ヶ月ほどかかるという競技用のカヌー。芸能人では武井壮さんと中条あやみさんしか乗りこなした実績がないというハードルの高さだという。このエピソードから、室伏長官の過去に取り組んだ競技に話題が及んだ。
――アテネ五輪ハンマー投げで、金メダルを獲得されている室伏さんですが、別の競技に挑戦された経験はありますか?
室伏:若い頃はさまざまな競技に挑戦し、どの競技に向いているか探っていました。苦手でしたが、長距離種目にも取り組んだことがあるんですよ。
今はスポーツ庁でも、さまざまな体験させるプロジェクトを行なっています。例えば、小澤さんが映画をきっかけにカヌーに出会い、才能を開花させるとか。そのようなきっかけ作りも大事かなと思います。
©2020 TIFF
――奇跡の復活を目指す映画です。スランプや挫折したときの「心の持ちよう」を教えてください。
小澤:いっぱい飲むこと。いや冗談です。(笑) そのような状況になった時は、まずは自分自身を俯瞰して見るようにします。徐々に高度を上げていくと、自分の住んでいる街があり、他の人がたくさん住んでいる。おそらく挫折感は誰かが経験していて、自分一人ではない。そういうふうに思うことにしています。
中条:「客観的に見る」というのは、小澤さんと似ていますが、私はその出来事を日記に書くようにしています。 後から見返すと、「この時にこんな出来事があった」とか、「この時は、小さいことで悩んでいたんだな」とか、嫌な出来事も、いつか思い出になると思うので、強くなるための経験として書き記していますね。
兼重:小澤さんと似ていますが、自分を客観的に見て、「小さいこと」だと考えるようにしています。後はたくさん飲むことですかね。
室伏:スポーツでは「上達」と「スランプ」はセット。それを乗り越えて成長しますし、僕もそういう風にして競技に取り組んできました。今回の「水上のフライト」でも、同じような印象を抱きましたね。
キャスト
中条あやみ、杉野遥亮、高月彩良、冨手麻妙 、大塚寧々、小澤征悦
監督 兼重淳 脚本 土橋章宏
製作 2020年 配給 KADOKAWA 上映時間 106分
公式サイト
【取材協力·写真提供】東京国際映画祭
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