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柔道・角田夏実が振り返ったパリ五輪金メダルまでの苦闘「今辞めたら絶対に後悔する」 語った感謝の想い「たくさんの人に支えられた」

パリ五輪の柔道女子48kg級で金メダルを獲得した角田夏実が12月12日、都内にてトークショーを行なった。五輪でのメダル獲得後、テレビ出演など各メディアで活躍する角田を目当てにおよそ200人のファンが駆けつけたイベント。五輪出場に到るまでの道のりや出場を経ての想いなど角田の柔道人生が語られたほか、後半には参加者との記念撮影や質問コーナーが行われるなど、金メダリストとファンによる貴重な交流の場となった。※トップ画像/筆者撮影

Biểu tượng 30716468 1048529728619366 8600243217885036544 nYoshitaka Imoto | 2024/12/17

多忙な日々を送る五輪後の生活

今回はスポーツを通じた日本の幸福度向上を掲げる情報サイト「ラブすぽ」主催のもとでトークショーが開催。MCを務めた下村泰司さんの呼びかけにより角田が登場すると、会場からは盛大な拍手が巻き起こった。

角田は冒頭にパリでの金メダル獲得について問われると、「嬉しいというより達成したという安堵感の方が大きい」とコメント。五輪から4カ月以上が経過した現在は体を動かし始めているといい、「少しずつ始めていて今日も練習してきました」と試合復帰に向けて動いていることを明かした。

角田はパリ五輪での金メダル獲得後に、テレビや柔道教室などのイベントに引っ張りだこの日々を送る。直近ではアパレルブランド「23区」のモデルを務め、ローソンのCMに初出演するなど、慌ただしいスケジュールを過ごしている。五輪後の生活の変化について問われた角田は、「まだまだ慣れないです」戸惑いを見せつつも、「知らない世界がこんなにもあるんだというのを知りました」と五輪後の反響の大きさについて言及した。

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筆者撮影

東京五輪を前に決断した階級変更

イベント内で語られたのは、角田が五輪出場に到るまでの道のりについて。角田は東京五輪出場を視界に入れていたなか、同じ階級で期待の若手として台頭してきた阿部詩や、世界柔道で金メダルの実績を誇った志々目愛といった有力選手と激しい争いを繰り広げていた。

そんななか、東京五輪を前に52kg級から48kg級に階級変更を決断し、選手としてひとつの分岐点を迎えた。しかし、東京五輪に向けた選考では落選し、年齢も20代後半から30代とベテランに差し掛かるなかで、パリ五輪を目指すまでの道のりは平坦ではなかった。

角田は「とりあえず全部がきつかった」と切り出すと、「休んではいけないけれど、休まなければ怪我もしてしまう。体のことを考えるなかで休んでるときは不安や罪悪感があるし、でも休まなければ明日からの練習もできない。メンタル的なきつさがある中でのトレーニングや練習は、『きついけれど今ここで辞めたら絶対後悔する』と思った。もう1歩、もう1歩という気持ちで1年間を過ごしていたなと思います」と自らと向き合い、葛藤を抱えながら積み重ねた日々を振り返った。

そうして迎えた31歳11カ月での初めての五輪。女子選手では史上最年長での金メダルを目指したなかでトーナメントを勝ち上がり頂点へ上り詰めた。パリ五輪で日本勢第1号の金メダルは、日本の夏季五輪500個目とメモリアルなものとなった。

角田は柔道を長く続けてきたなかで「何度も柔道を辞めたいと思った」と言及。苦難の時を経て上った五輪の表彰台で見た景色については、「あそこで君が代を聴くというのはほかの大会で聴くのとは全然違うものだということを感じて。本当に諦めなくて良かったと表彰台ではすごく感じましたし、何回も投げ出したくなったけれど周りの人に支えてもらって、頑張ってきて良かったと思いました」と感慨深げに思いの丈を述べた。

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パリ五輪柔道48kg級女王・角田夏実「もう一度この人生を歩めと言われたら、きつい… 」史上最年長で“金”を掴むまでの壮絶な復活劇

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筆者撮影

仮想“谷亮子対策”を明かす

参加者との記念撮影会を経て終盤に行われたのが質問コーナーで、角田を支えてきた今井優子コーチも壇上に上がり参戦。ファンならではの質問が五輪金メダリストに寄せられた。

テスト期間中に参加したという高校生からは、「オススメの勉強法はありますか?」と質問が。八千代高校から国立の東京学芸大に進んだ経歴をもつ角田は、「私は高校のころは勉強は丸暗記でした」と切り出すと、「母親などから暗記できるまで問題を出してもらうんですが結構厳しくて。問題を出してもらって答えられないと、答えられるようになるまで終わらないので朝4時になることがあった」と自らの体験談が語られた。

また、「もし、全盛期の谷(田村)亮子さんと戦うことになったらどのように戦いますか?」と同じ五輪48kg級の先輩についても質問が飛んだ。角田は「子どもの頃に五輪に出られていたのを映像で少し観たことはある。けれど、今みたいに映像が全て残っているとかではなかった」と言及。

戦う際には、「技が切れる方なので、私が戦うとしたら距離をとって、間合いに入らせない」と自らのスタイルに持ち込むと明かし、「腕っぷしで柔道をするタイプなので腕力で勝とうかなと思います」と笑いを交えながら仮想“谷亮子対策”についてコメントした。

角田はトークショーの最後に「パリ五輪ではたくさんの応援ありがとうございました」と感謝の弁を述べつつ、「たくさんの人に支えられてパリ五輪の戦いに行けたんだなというのを今日改めて感じました。これからの目標はまだ決まっていないんですが、色々な面で活躍していけたらと思いますので、これからも応援のほどよろしくお願いします」と挨拶。参加者全員での記念撮影でイベントは閉められ、およそ2時間にわたり行われたイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

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筆者撮影