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攻めまくる!今アツいサンフレッチェ広島の2024年攻守戦術を紐解く

数々の感動を生み出すサッカー。勝ちに繋げるには選手各々の能力やテクニックはもちろん、経験や頭脳を使った戦略も重要なポイントだ。緻密に計算された戦術こそ、勝利を左右すると言っても過言ではない。今回、Jリーグを誰よりも見ている解説者の一人である林陵平がサンフレッチェ広島の2024戦略を独自の視点でわかりやすく解説してくれた。また終盤では、サンフレッチェ広島にサッカー人生を捧げた青山敏弘選手の功績と引退について語った。※メイン画像:出典/Getty Images

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サンフレッチェ広島が魅せてくれた『攻守両局面における超アグレッシブなサッカー』

「(サンフレッチェ広島が)守備の時に行っている戦術は基本マンツーマンです」と断言する林。サンフレッチェ広島が3-4-2-1、相手チームが4-3-3のフォーメーションを組んだ場合、相手のビルドアップの4-3-3に対して、守備の時に行っている戦術は基本マンツーマン、いわゆるオールコートマンツーマンだ。

相手の2センターバックに対してシャドーが捕まえに行き、1トップがアンカーを消す。さらにウイングバックを出して相手サイドバックをマーク。インサイドハーフに対しては2ボランチを当て、守りを固める。すると、残った3トップに対して基本的には3センターバックを付けられる。しかし、3トップに3センターバックを貼り付けるのはやはりハードな戦術のようだ。「選手からしたらやっぱり大変なわけですよ」と林は語る。いわゆるオールコートマンツーマンで、広いピッチの横幅68mを3人で固めるという、背水の陣にも似た鉄壁の守りで守備に徹しなければならない。そんなハードな戦術に対して、林は「チームとして受け入れてる。個人としても、そこでやらなきゃいけないという覚悟ができているので、サンフレッチェ広島は成り立っているのかな」と考察した。

ボールホルダーを追い、常にゴールを攻める姿勢を見せるチーム!

一方、攻撃の際には、とにかくボールホルダーを追う動きが多いという。選択肢は常に、前に前にと前進する動きを見せ、守りの要であるサイドバックやボランチも上がる。全ポジションが精力的に上がることによって、数的有利な状況を作り出しボールホルダーに選択肢を与えるのだ。

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Nguồn/Hình ảnh Getty

ミスを恐れずプレーをさせるサンフレッチェ広島のスキッベ監督。「前向きなミスなら良い」という考えが、選手全体にも浸透しているのでより攻めた攻撃を魅せることができる。もちろんベースのシステムがあることは前提だが、攻撃になった際にはボールホルダーに対して全員がどんどん関わって追い越していくという型にはまらないプレースタイルがサンフレッチェ広島の魅力だ。いろいろなところに動きながら空いたポジションは他の選手がカバーして、組織の中に余白を残して選手たちで考えながらプレーをする。自分たちで考えることも増え、出場した選手が自信をもってプレーできるというのがサンフレッチェ広島の戦い方だという。

今季のサンフレッチェ広島は、トルガイ・アルスラン選手などのスーパー選手を筆頭にたくさん良い選手が所属し、面白いプレーも多く「見ていて面白いな」と思わせるチームであったと、林は語る。

選手人生をサンフレッチェ広島に懸けたワンクラブマン

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Nguồn/Hình ảnh Getty

今回第一線を退きコーチとして就任することに決まった青山選手。2004年に入団しチームを3度のJ1優勝へと導いた。2015年にはJリーグMVPを獲得し、クラブ史上最多のJ1通算444試合に出場した経歴を持つ、サンフレッチェ広島に21年間選手として所属した広島一筋のワンクラブマンだ。

林は「本当にすごいことですね。同じチームで積み重ねていくのは」と強く語った。いろいろなオファーがあった中で残り続けたこのチームへの愛は計り切れない。変わらない環境の中で得た刺激は違った形となり青山選手の糧となることだろう。引退試合のスタンドには、青山選手のユニフォームや「ありがとう」などのパネルを持った大勢のファンが涙を浮かべて名プレーヤーの引退を見守った。

結果が残せないと残れないというシビアな世界の中で、サンフレッチェ広島の第一線で活躍しさまざまな功績を残してきた青山選手。守備に攻撃にとマルチに活躍した青山選手に林は「素晴らしいプレイヤーの中、サンフレッチェ広島で素晴らしい好成績を残した青山選手、本当にお疲れ様でした」と、労いの言葉と共に締めくくった。選手人生を終え、これからのコーチとしての手腕にぜひ期待したいところだ。


『Jリーグシーズンレビュー 2024』by DAZN

#3:戦術トレンド -広島- 「オールコートマンツーマン」

配信日:2024年12月9日(月)全10回一挙

内容:多くのドラマが生まれた2024年のJリーグ。そんな今シーズンのJリーグを、トピックごとに徹底レビューする特別コンテンツが登場。いまJリーグを最も見ている解説者の1人、林陵平が各テーマについて深掘りし、独自の視点で語る貴重なインサイトはJリーグファン必見だ

※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています