「差は個の力と体幹」小久保玲央ブライアンが、ポルトガルの名門チームで過ごす日々を語る
若手世代の活躍が目覚ましい日本サッカー界。ポルトガルの強豪チームの一つであるベンフィカで、着実に実力を高めているのが、GKの小久保玲央ブライアン選手だ。2019年1月、柏レイソルユースから異国の地へと旅立った小久保選手。UEFAユースリーグへの選手登録や、トップ選手の練習参加など、チャンスを掴みつつある小久保選手に近況を伺った。
Thiên nga Junichi
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2019/10/24
——昨シーズンは初めて海外のクラブでプレーされたわけですが、どのような想いで過ごされてきましたか?驚いたことはありました?
小久保:ポルトガルは、街のみんながサッカーを愛していて、愛情に満ち溢れています。日本では「相撲」が国技で、多くの人に愛されていると思いますが、それ以上のものを感じましたね。
サッカーの面では、日本とはパスやシュートのスピードも全然違いますし、何よりも、日本の選手は絶対に打ってこないような遠い距離からでも、シュートを放ってくるところに驚かされました。
日本とは異なる点もありますが、こちらでは恵まれた環境でプレーできているので、本当にベンフィカに来て良かったと思っています。
——小久保選手が、現在プレーの面で感じている課題や、手応えをつかんだことがあれば教えてください。
小久保:ビルドアップやハイボールが得意ですかね。実は、中学1年で柏レイソルジュニアユースに入るまで、ずっとFWをやっていました。
そのようなこともあり、味方選手にパスを繋いだり、足元を使うプレーは好きです。 一方で、課題だと思っているのは状況判断ですね。特に飛び出しや、背後にあるスペースのカバーは、改善する必要があると思っています。
——意外にも、GKに「転向」して間もないということですが、キャッチングについては、どのように感じていらっしゃいますか?
小久保:ベンフィカでは、練習で放たれるシュートも速いので、キャッチングに対する意識がどんどん強くなってきています。苦手だった時期もありましたが、今は自分のセールスポイントになってきています。
——まだ、ポルトガルでプレーされて間もないですが、チームメートとのコミュニケーションは上手く取れていますか?
小久保:正直にいうと、「言葉の壁」は、まだ感じることがありますね。もともと日本では、積極的にチームメートと話しながらコーチングをしていました。でも今は、ハーフタイムにボード使ったりして、片言でコミュニケーションを取っています。
——ヨーロッパのチームは、日本人GKに対して、どのようなイメージを持っているんでしょうか?
小久保:おそらく正確にフィードが蹴れて、プレーが安定しているイメージではないかと思います。 海外の選手は、難しいパスを出し、ミスに繋がってしまうこともありますからね。ただ、トライがあってこそ入る得点もあるので、必ずしも悪いことではないんですが…。
——小久保選手が感じている、日本人選手と外国人選手の一番の違いは何ですか?
小久保:身体の強さや体幹ですね。ヨーロッパにいる多くの選手は、少なくとも週2〜3回は、筋トレをやっています。 ベンチプレスでは、日本人選手の2倍くらいの重さを平然と持ち上げる選手もいるので、差はあると思いますね。
——食事の面では、海外との差はありましたか?
小久保:外国人選手は、1日に5〜6食を摂っていますね。食べる量よりも、少ない量を小刻みに食べているという点に違いを感じました。
——今シーズンは、 初めてベンフィカの一員として開幕を迎えられるわけですが、入団されるまでの経緯を教えてください。
2017年に、柏レイソルU-18の一員として出場したアルカス国際カップ(カタール)がきっかけですね。
——アルカス国際カップでは、レアル・マドリードをはじめとするヨーロッパの並み居る強豪を下しての準優勝でした。ヨーロッパのチームに対して抱いた印象を教えてください。
小久保:ヨーロッパのチームは、戦術よりも「個人の力」が強い傾向があると思いました。
例えば、相手チームにボールを支配されていて苦しい時間帯に一人が抜け出し、シミュレーションっぽく倒れてファールもらったとします。確かに「良くない」プレーですけど、チームとしては凄く助かる。
日本では、「和」を大切にする傾向があるので、「チームプレー」として認められにくいところがありますが、海外ではきちんと認められる。そのような違いはあると思います。
——小久保選手はGKとして、そのようなギリギリのシミュレーションに対峙しないといけない場面もあると思いますが…?
小久保:自分のチームが負けている状態の時に、相手チームの選手がシミュレーションをやってきたら、内心はストレスが溜まると思います。
そんな時には、まずGKである僕が「落ち着け!」とチームメートに話し、いつかゴールを決めてくれる瞬間を信じて、全力でプレーをすると思います。
——アルカス国際カップでは、現在所属されているベンフィカとも対戦されていらっしゃいますが、その時のイメージを教えてください。
小久保:ベンフィカ戦は、ずっと自陣に押し込まれる厳しい試合でした。結局はカウンターで勝利したんですが、「ボールを支配して勝ちたい」とレイソルの選手はみんな思っていたんです。
ベンフィカのスピードの速いパスに苦しめられたり、コンビネーションから崩された場面も多く、勝利の嬉しさと同様に、「世界との差」も感じさせられましたね。
——ベンフィカでは、どのような日々を過ごしているのですか?
小久保:現在はU-23チームに所属しています。普段はベンフィカのBチーム、1ヶ月に数回は、トップチームに混じって練習をしている感じですね。
——チームに何人くらいGKがいるんですか?
小久保:GKはBチームに2人、Aチームに3人います。U-23チーム所属の僕は、正GKから数えて6〜7番手の選手ということになりますかね。身長は一番大きいんですけども。(笑)
——それでは、次に小久保選手のプレーを支えている用具についてのお話をお伺いしたいと思います。
——小久保選手は、スパイク選びで、どのような点を重視されていますか?
小久保:足へのフィット感や、キックを蹴った時の安定感を重視しています。なので、どちらかというと足の幅が狭く、スリムなシルエットの靴が好きです。
高校の頃に履いていたPUMAのエヴォスピードや、現在履かせてもらっているフューチャーは本当に履きやすいですね。
——それでは次にグローブについてお聞きします。重視されているポイントはどこですか?
小久保:フィット感と甲の締まりですかね。ズレがなく安定しているグローブが好きです。
——ポルトガルリーグはナイキ製の公式球が使われているそうですね。ボールや芝生との相性はいかがでしょうか?
小久保:スパイク、グローブとも相性はいいと思います。日本との違いという点では、ポルトガルは日本よりも芝生が長いので、ミックスソールを履いて練習しています。
芝生が長いと疲れやすいんですが、ボールが滑りやすく、激しいプレーをしても痛みが少ないのがいいですね。
——スパイクやグローブに対して、さらなる要望はありますか?
小久保:スパイク、グローブ共に気に入って使わせていただいていますが、あえていうなら、速乾性ですかね。
ポルトガルのピッチは、とても濡れているんです。練習が終わる頃には水浸しなので、練習の時には毎回、ミックスソールが3足、通常のスパイク1足の合計4足を持っていっています。
なので、その辺りが楽になるといいかなと感じることはありますね。
——東京オリンピックまで、残り1年を切りましたが、今後の目標やキャリアについて、どのようにお考えですか?
小久保:年齢的には2024年のパリオリンピックも出られるんですが、自国開催の東京オリンピックにも、絶対出たいと思っています。オリンピックが日々の練習での励みにもなっていますよ。
プロ選手としては、まずはベンフィカで活躍し、最後はJリーグに戻って、自分の経験を還元できるような選手になりたいです。
異国の地、ポルトガルで着実に実力を高めている小久保選手。さらなる飛躍が注目される。
小久保:ポルトガルは、街のみんながサッカーを愛していて、愛情に満ち溢れています。日本では「相撲」が国技で、多くの人に愛されていると思いますが、それ以上のものを感じましたね。
サッカーの面では、日本とはパスやシュートのスピードも全然違いますし、何よりも、日本の選手は絶対に打ってこないような遠い距離からでも、シュートを放ってくるところに驚かされました。
日本とは異なる点もありますが、こちらでは恵まれた環境でプレーできているので、本当にベンフィカに来て良かったと思っています。
——小久保選手が、現在プレーの面で感じている課題や、手応えをつかんだことがあれば教えてください。
小久保:ビルドアップやハイボールが得意ですかね。実は、中学1年で柏レイソルジュニアユースに入るまで、ずっとFWをやっていました。
そのようなこともあり、味方選手にパスを繋いだり、足元を使うプレーは好きです。 一方で、課題だと思っているのは状況判断ですね。特に飛び出しや、背後にあるスペースのカバーは、改善する必要があると思っています。
——意外にも、GKに「転向」して間もないということですが、キャッチングについては、どのように感じていらっしゃいますか?
小久保:ベンフィカでは、練習で放たれるシュートも速いので、キャッチングに対する意識がどんどん強くなってきています。苦手だった時期もありましたが、今は自分のセールスポイントになってきています。
——まだ、ポルトガルでプレーされて間もないですが、チームメートとのコミュニケーションは上手く取れていますか?
小久保:正直にいうと、「言葉の壁」は、まだ感じることがありますね。もともと日本では、積極的にチームメートと話しながらコーチングをしていました。でも今は、ハーフタイムにボード使ったりして、片言でコミュニケーションを取っています。
——ヨーロッパのチームは、日本人GKに対して、どのようなイメージを持っているんでしょうか?
小久保:おそらく正確にフィードが蹴れて、プレーが安定しているイメージではないかと思います。 海外の選手は、難しいパスを出し、ミスに繋がってしまうこともありますからね。ただ、トライがあってこそ入る得点もあるので、必ずしも悪いことではないんですが…。
——小久保選手が感じている、日本人選手と外国人選手の一番の違いは何ですか?
小久保:身体の強さや体幹ですね。ヨーロッパにいる多くの選手は、少なくとも週2〜3回は、筋トレをやっています。 ベンチプレスでは、日本人選手の2倍くらいの重さを平然と持ち上げる選手もいるので、差はあると思いますね。
——食事の面では、海外との差はありましたか?
小久保:外国人選手は、1日に5〜6食を摂っていますね。食べる量よりも、少ない量を小刻みに食べているという点に違いを感じました。
——今シーズンは、 初めてベンフィカの一員として開幕を迎えられるわけですが、入団されるまでの経緯を教えてください。
2017年に、柏レイソルU-18の一員として出場したアルカス国際カップ(カタール)がきっかけですね。
——アルカス国際カップでは、レアル・マドリードをはじめとするヨーロッパの並み居る強豪を下しての準優勝でした。ヨーロッパのチームに対して抱いた印象を教えてください。
小久保:ヨーロッパのチームは、戦術よりも「個人の力」が強い傾向があると思いました。
例えば、相手チームにボールを支配されていて苦しい時間帯に一人が抜け出し、シミュレーションっぽく倒れてファールもらったとします。確かに「良くない」プレーですけど、チームとしては凄く助かる。
日本では、「和」を大切にする傾向があるので、「チームプレー」として認められにくいところがありますが、海外ではきちんと認められる。そのような違いはあると思います。
——小久保選手はGKとして、そのようなギリギリのシミュレーションに対峙しないといけない場面もあると思いますが…?
小久保:自分のチームが負けている状態の時に、相手チームの選手がシミュレーションをやってきたら、内心はストレスが溜まると思います。
そんな時には、まずGKである僕が「落ち着け!」とチームメートに話し、いつかゴールを決めてくれる瞬間を信じて、全力でプレーをすると思います。
——アルカス国際カップでは、現在所属されているベンフィカとも対戦されていらっしゃいますが、その時のイメージを教えてください。
小久保:ベンフィカ戦は、ずっと自陣に押し込まれる厳しい試合でした。結局はカウンターで勝利したんですが、「ボールを支配して勝ちたい」とレイソルの選手はみんな思っていたんです。
ベンフィカのスピードの速いパスに苦しめられたり、コンビネーションから崩された場面も多く、勝利の嬉しさと同様に、「世界との差」も感じさせられましたね。
——ベンフィカでは、どのような日々を過ごしているのですか?
小久保:現在はU-23チームに所属しています。普段はベンフィカのBチーム、1ヶ月に数回は、トップチームに混じって練習をしている感じですね。
——チームに何人くらいGKがいるんですか?
小久保:GKはBチームに2人、Aチームに3人います。U-23チーム所属の僕は、正GKから数えて6〜7番手の選手ということになりますかね。身長は一番大きいんですけども。(笑)
——それでは、次に小久保選手のプレーを支えている用具についてのお話をお伺いしたいと思います。
——小久保選手は、スパイク選びで、どのような点を重視されていますか?
小久保:足へのフィット感や、キックを蹴った時の安定感を重視しています。なので、どちらかというと足の幅が狭く、スリムなシルエットの靴が好きです。
高校の頃に履いていたPUMAのエヴォスピードや、現在履かせてもらっているフューチャーは本当に履きやすいですね。
——それでは次にグローブについてお聞きします。重視されているポイントはどこですか?
小久保:フィット感と甲の締まりですかね。ズレがなく安定しているグローブが好きです。
——ポルトガルリーグはナイキ製の公式球が使われているそうですね。ボールや芝生との相性はいかがでしょうか?
小久保:スパイク、グローブとも相性はいいと思います。日本との違いという点では、ポルトガルは日本よりも芝生が長いので、ミックスソールを履いて練習しています。
芝生が長いと疲れやすいんですが、ボールが滑りやすく、激しいプレーをしても痛みが少ないのがいいですね。
——スパイクやグローブに対して、さらなる要望はありますか?
小久保:スパイク、グローブ共に気に入って使わせていただいていますが、あえていうなら、速乾性ですかね。
ポルトガルのピッチは、とても濡れているんです。練習が終わる頃には水浸しなので、練習の時には毎回、ミックスソールが3足、通常のスパイク1足の合計4足を持っていっています。
なので、その辺りが楽になるといいかなと感じることはありますね。
——東京オリンピックまで、残り1年を切りましたが、今後の目標やキャリアについて、どのようにお考えですか?
小久保:年齢的には2024年のパリオリンピックも出られるんですが、自国開催の東京オリンピックにも、絶対出たいと思っています。オリンピックが日々の練習での励みにもなっていますよ。
プロ選手としては、まずはベンフィカで活躍し、最後はJリーグに戻って、自分の経験を還元できるような選手になりたいです。
異国の地、ポルトガルで着実に実力を高めている小久保選手。さらなる飛躍が注目される。