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今さら聞けない!山本昌が警鐘を鳴らしていたMLBルール“ピッチクロック”とは?驚きの導入背景も解説

お笑いコンビ・さや香さんがMCを務め、日本人選手の活躍や試合の見どころなど、MLB情報を配信している「MLB’s ON FLEEK」。#3では「投手苦戦!ピッチクロック」と、2023年シーズンから導入された新ルールをテーマに、元・中日ドラゴンズ200勝投手で解説者の山本昌がMLB投手の負担について警鐘を鳴らしていた。※トップ画像出典/Getty Images

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試合時間短縮のため2023年から導入「ピッチクロック」

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イラスト/vaguely

「ピッチクロック」は、試合時間短縮を目的に2023年シーズンから導入されたMLB独自の新ルールだ。走者がいない場合は球を受け取って15秒以内に、走者がいる場合は18秒以内に投球動作に入らないといけない。違反すると1ボールが追加される。また、打者にも制限時間があり、8秒前までに打席に入って準備を完了する必要がある。違反すると1ストライクが追加される。

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イラスト/vaguely

今年は、サンディエゴ・パドレス松井裕樹投手が、開幕戦の初登板でピッチクロック違反を宣告されていた。「日本にないルールなので」と話すMLBジャーナリストAKI猪瀬さんは、「山本投手が活躍できるかどうかも、この対応にかかっていると言っても過言ではない」と、MLBに進出したドジャース山本由伸投手の成功へのカギだともしていた(同選手は今年2024年5月2日(日本時間)のダイヤモンドバックス戦に先発登板した際、初回でピッチクロックバイオレーションを取られた)。

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松井裕樹投手(出典/Getty Images)

長時間で観客動員も減り視聴率も低下していた

ピッチクロックがメジャーで導入された理由を聞かれた、お笑いコンビ・さや香の新山さんは「審判がケツで予定入れているとか?」とボケると、AKI猪瀬さんは「そういう時代は本当にありました。コントロールが良い投手に当たった球審が、レストランの予約を1時間早めることが昔はあった」と、MLBのウラ話を暴露しスタジオを沸かせた。

AKI猪瀬さんは「アメリカ国内だと、実はMLBはあまり人気がないんです」と別の理由も話す。北米4大スポーツの人気順位は、アメリカンフットボール (NFL)、バスケットボール (NBA) に次いでMLBは3番人気だという(4位はアイスホッケー/NHL)。「3時間半とか4時間とか、長いスポーツなので観客動員も減り、視聴率も低下してしまった」とAKI猪瀬さんは解説する。そこでMLB機構側が、球場にファンを呼び戻すため、試合時間短縮の施策として導入された背景を明かした。

山本昌「投げるほうは本当にキツイと思う」

山本は「効果てきめんですよ」と、導入前の2022年は3時間03分だったのが、導入後の2023年は2時間39分と、MLBの平均試合時間が20分以上も短縮されたことを紹介した。おかげでファンも球場に戻ってきたというが、山本は「投げるほうは、本当にキツイと思う」とコメントしている。

「みんな落ち着かせて『よし行こう』と投げるんだけど、時間、時間で焦って100球ぐらい投げたら、おそらく体へのダメージは…」と投手への負担増を心配する山本。「僕の時にピッチクロックあったら、たぶん200勝してないね」と断言した。

MLB選手会も「投球間の回復ができない」「肉体が消耗し続けてしまう」と訴えているが、MLB機構側は「行き過ぎたトレーニングをしているから、肘と肩が故障してしまう」と、言い分は真っ向対立しているという。山本さんも「日本でも問題になりますよ」と、投球間隔の短縮問題は、将来NPBにも波及してくると予測した。

現役時代を再現した山本─ピッチクロックに対応できるか計測

スタジオでは、山本が現役時代の投球間隔を再現し、ピッチクロックに対応できるか計測した。「結構長いって言われていた」と話す山本さんは、ボールを受け取ると、グラブを外し、ロジンバックに手をかけ球を手になじませたあと、指をなめてグラブを装着した。ここまで、すでに18秒経過。走者がいる場合でも違反宣告されてしまう。

山本の投球間隔はまだまだ続く。気合を入れ、捕手のサインに一度クビを傾けてから、やっと投球動作に入った。1球の投球間隔は28秒。これには、さや香・石井さんも「2回ボール出るくらいや」とツッコむ。新山さんも「どうなんやろな?」と、投手へのプレッシャーを心配した。

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現役時代の山本昌(出典/Getty Images)

ピッチクロックを成功に導いている電子機器

ただ、MLB機構側も対策していないわけではない。AKI猪瀬さんは、「ピッチクロックを成功に導いているのが、ピッチコムという電子機器です」と、投手と捕手間のサイン交換を電子化したシステムを説明する。投手の帽子に骨伝導のレシーバーが入っていて、捕手が腕に装着する9つのボタンがある送信機からサインを伝達できる。この仕組みが、時間短縮に大きく貢献しているという。「市販品じゃありませんので、ピッチャーキャッチャーが壊してしまった場合は、もれなく50万円の罰金です」とAKI猪瀬さんが内情を明かした。

ピッチクロックで試合短縮されて万々歳と思いきや、困っている人も出てきているという。AKI猪瀬さんが「各球場の売店でビールを売っている業者さんです。ゲーム展開が早くて、ビールを飲む時間も少なくなっちゃった」と、意外な波及効果を紹介していた。


ABEMA MLB’s ON FLEEK
タイトル:#3「投手苦戦!ピッチクロック」
配信日:2024年5月3日(金) 12:00 〜 12:15 毎週金曜に配信
内容:日本人選手の見どころや独自の情報などMLBをもっと見たくなる情報を週1で発信。

※記事内の情報は配信時点の情報です