2024年サッカー日本代表の軌跡ーアジアカップでの戦いを振り返る

難しさを痛感したベトナム戦、悔しい結果となったイラク戦

2024年1月、3大会ぶり5度目のアジアカップ優勝を目指し、カタールへと乗り込んだサッカー日本代表。2022年のワールドカップでドイツ、スペインを破った日本代表は、森保一監督の指揮の元、新戦力を試しつつチームを再構築し、2023年6月以降は9連勝を記録。その勢いを保ったまま、アジアカップの優勝候補の筆頭として今大会へ出場した。

アジアカップ初戦の相手は東南アジアの強豪ベトナムだ。過去に日本代表の監督も務めたフィリップ・トルシエ監督が指揮を執るベトナムチーム。日本代表が分析した以上の技術レベルを感じさせ、ペースがつかめない前半の流れとなった。日本代表が1点を取るも、ベトナムが逆転するという予想外の展開も迎える。その後、ワールドカップからチームを支えた遠藤選手と南野選手が流れを変えて同点まで持っていくと、さらに個の力の差を見せつけ、4-2で盛り返した。アジアの戦いの難しさを痛感しながらも、初戦は勝利の結果となった。

続いたイラク戦では、前線に変更があった日本代表。前半ではミスの流れからイラクが1点を先制する。バルセロナでアナリストを務めたというイラクチームの監督が日本を分析してきた結果か、前半2-0でイラクが優勢となった。後半からは富安選手が交代で出場。その後も選手交代を続けるも、イラクに対応され、交代が機能してこない状況に追い込まれる。後半アディショナルタイムで日本代表が1点を返すも、これまでの連勝はストップ。悔しい結果となったが、次の試合へ向けての闘志を燃やした。

決勝トーナメント進出を決めたインドネシア戦、ベスト8進出決定のバーレーン戦

1月24日のインドネシア戦は決勝トーナメント進出を決めるための重要な一戦だった。PKで1点を先制した上田選手は「前回の試合からの反省をチームとして意識してましたし、いい入りができたんじゃないかなと思います」とコメント。さらに続けて堂安選手が持っていき、上田選手が2得点目を決めた。その後も健闘し3-1で日本代表が勝利。グループ2位でのアジアカップ決勝トーナメント進出を決める結果となった。

決勝トーナメント初戦となる中東のダークホース・バーレーン戦では、インドネシア戦のメンバーを持ち越して試合へ出場。まずは堂安選手がゴールを決めて1点先制し、続けて久保選手が2点目を決めた。しかし、日本代表の守備での不安定さを見せた試合ともなった。バーレーンが1点を取ったところで、ケガから復帰した三苫選手を投入し、その後勢いを取り戻した日本代表。バーレーンに3-1で勝利し、9大会連続のベスト8進出を果たした。

苦難のイラン戦と先を見据える日本代表

ここまで中東勢の圧力に打ち勝ち、強豪イランと戦うことになった2024年2月3日。ロッカールームには「綺麗に勝てると思うなよ、泥臭く行けよ」と選手を奮い立たせる森保監督の姿があった。試合では、立ち上がりからイランに肉弾戦を挑まれることになった日本代表。森田選手がゴールを決めて日本が1点先制。その後も、フィジカルを活かしながら戦い、1点を先制したまま前半が終了する。

ロッカールームで熱く作戦を語り、気合を入れて迎えた後半。さらに点を取るために攻める日本代表だったが、チャンスを決めきれず相手に流れが渡ってしまう。その後、イランに1点を取られ、同点に追いつかれた日本代表。流れを取り戻せないまま、アディショナルタイムのPKでイランに得点を許してしまう。2-1でイランが勝利し、日本代表はベスト8で敗退となった。

イラン戦の後、森保監督は「我々はもっと先のこれから、アジアを確実に戦って勝つ力と世界に勝つ力をつけないといけないということを今日思い知らされた」「監督としてみんなの努力を結果に結び付けられなかったのは本当に申し訳ない。でもここからやっていきましょう」とチームに語りかけた。

アジアカップでの優勝候補の筆頭と思われたが、イランを相手に敗北を喫した日本代表。負けたことに対する悔しさもある中、切り替えて次のワールドカップ予選を見据えていた。

『2024 日本代表の軌跡』#1『凋落』より
配信日：2024年12月

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