引退から4年越し、中村憲剛が引退試合で魅せた18年の現役生活の集大成
中村憲剛は、2003年にJリーグデビュー。川崎フロンターレ一筋で18年間プレーし、スルーパスを武器にチームを牽引。J1で3度のリーグ優勝を達成し、個人でもMVP1回、ベストイレブン8回を受賞した。日本代表でも通算68試合に出場し、司令塔として活躍。そして2020年シーズンを最後に、現役を引退した。DAZNで配信されている「明治安田 presents 中村憲剛 引退試合」では、2024年12月14日に行われた中村の引退試合を特集。この記事では、引退試合後半戦に実施されたKAWASAKIフレンズマッチを振り返る。※トップ画像出典/Getty Images
川崎フロンターレの元チームメイトが集結したKAWASAKIフレンズマッチ
引退試合後半に行われたKAWASAKIフレンズマッチでは、ゲスト解説に谷口彰悟が登場。メンバーはブルーとホワイトに分かれ、中村は時間交代して、それぞれのチームから出場した。
試合開始1分、ホワイトの山岸智が左足でシュートを決め先制。その後2分に、ブルーのジュニーニョが蹴った速いクロスを鄭大世が押し込み、すぐに同点に追いついた。しかし7分にはホワイトの楠神順平がドリブルでディフェンスを抜き去り、そのままゴールを決め2-1と勝ち越した。
途中交代でホワイトに鬼木達が投入され、すぐに中村との連携プレーを見せる。山村和也がカットインして空いたスペースに鬼木が走り込み、山村からパスを受けた中村が鬼木にスルーパス。シュートを打つも、ここはディフェンスに阻まれてしまう。
試合開始から10分、2015年に川崎フロンターレでプレーし2016年に逝去したアルトゥール・マイアへ、18分には2008年から4シーズンプレーし、2024年1月に逝去した横山知伸にそれぞれ追悼の拍手が送られた。
25分に鳴った太鼓を合図に「ガチタイム」と称した本気でプレーする時間が始まる。プレーにスピードが出て、チャントを歌うサポーターにも力が入り雰囲気が一変。35分、ブルーは大久保嘉人から長谷川達也、登里亨平、家長昭博とペナルティーエリア内でパスが回る。最後は家長が右足で押し込み、2-2と同点に追いついた。
終了間際、ブルーがFKのチャンスを獲得。ブルーにチーム替えをした中村がFKのキッカーとして立つと、両チームの選手が壁になり集合。FKを蹴るかと思いきや、内田篤人がカメラマンとしてやってきて、まさかの集合写真タイムに。
引退試合ならではの様子に実況席は笑いに包まれた。試合再開後、44分に中村がFKを決め、「サンキュー」のゴールパフォーマンスを披露。その後ろでは、両選手たちが人文字で中村の背番号「14」を表現。普段は見られないパフォーマンスで、中村のゴールを祝福した。アディショナルタイムは中村の背番号「14」秒となり、3-2でブルーが勝利し試合終了した。
最後のセレモニーと川崎フロンターレらしい締めくくり
川崎フロンターレのホームゲーム終了後に、最も印象に残った選手に贈られる「あんたが大賞」を、今回の引退試合でも選出。結果、中村が受賞した。KAWASAKIフレンズマッチのMKKP(最も憲剛を輝かせたプレイヤー)は、中村との見事な連係プレーを見せた鬼木に贈られた。
最後の挨拶では「多くの方が来てくれて本当に幸せ者です」と述べた中村。4年前に引退したときはコロナ禍で様々な制限があり、チャントを歌ってもらえなかったため心残りがあったという。「今日は中村憲剛のチャントを歌ってもらって その中でプレーして送り出してもらえて感無量です」と話し、「僕自身も楽しめた1日でしたし、皆の笑顔を見られてすごく幸せでした」と感謝を伝えた。
挨拶後、家長と谷口が寿司桶とお茶を持って登場し、中村へと贈られた。「あがりを飲んでアスリート憲剛上がり!」というダジャレで笑いにもっていく、川崎フロンターレらしい演出で、中村憲剛の現役生活を締めくくった。
後半戦にも続々と参加メンバーが実況席で、中村とのエピソードを披露
谷口は、中村と解説者の中西哲夫との食事会のエピソードを教えてくれた。食事会では「哲夫さんと憲剛さんからの色々な思いを、フロンターレに対しても僕個人に対しても伝えていただいて貴重な時間だった」と振り返った。また中西は、谷口が「どんどん年齢が上がっていく中で、キャプテンとしてチームを引っ張ってほしい」という思いで、中村と共に谷口に話したと明かした。
元日本代表の小野伸二は、中村を対戦相手として「嫌なところに顔を出してくる」「ボールをとられない」「視野が広くワンステップでスルーパスを出してくる」といった特徴を挙げ、やりづらい相手だったと評価。同じく元日本代表の遠藤保仁は「日本代表で一緒にプレーしているときは頼りがいがあって 賢い選手だと思っていました」と話す一方「敵としてはいやらしいところにポジションをとり、パスもシュートもできるやっかいな選手」と振り返った。
いつもとは違ったカジュアルな雰囲気に包まれた、実況席でのインタビュー。普段は聞くことができない話が飛び出し、サッカーファンにとってはたまらない時間となったことだろう。
中村の引退試合には、豪華メンバーが集結し、2万人以上のサポーターが駆け付けた。中村がいかに長い間トップで走り続けてきたのか、そして他の選手やサポーターにどれだけ愛されたた選手だったかを証明した1日となった。
DAZN『明治安田 presents 中村憲剛 引退試合』より
配信日:2024年12月14日~
内容:多くのレジェンドが駆け付けた、中村憲剛の引退試合の1日を振り返る。
※記事内の情報は配信時点の情報です.