
男子プロバスケ試合後の“I am Happy”は「幸せだった」と訳すのかーあなたならどう訳しますか?
10人通訳者がいれば、10通りの訳があるー。日々スポーツ通訳による観戦がもっとリアルに楽しくなる英語講座。今回はイギリスの男子プロバスケットボールリーグ、SLBチャンピオンシップでマンチェスターに勝利したレスターのMVPインタビューのフレーズを元に“訳す力”を向上させるヒントを紹介していく。さぁ、あなたならこのインタビューをどう訳すのかーぜひ一緒に紐解いてみてほしい。※画像作成/キングギア編集部

さぁ、あなたならこのインタビューをどう訳しますか?
イギリスの男子プロバスケットボールリーグ、SLBチャンピオンシップでマンチェスターに勝利したレスターのMVPインタビューより、
「3ポイントシュートが決まり、自信が高まっていったようですね。チームメートからボールをもらいながらも、自らオフェンスを作り出す場面もありましたね」
というインタビュアーの言葉に対する選手の返答の“訳し方”について考えていく。
「I think when you see one go in, your confidence goes way up. So as each one went in, the confidence went a little bit higher and I was happy to keep jacking it」
ではこのコメントをどう訳すのが正解なのだろうか。読み進める前に、一旦自分なりの訳をぜひ書き出してみてほしい。
まずは分けて考えみる
まず1文目と2文目の途中をセットで考えてみる。
「I think when you see one go in, your confidence goes way up.」
「So as each one went in, the confidence went a little bit higher~」
インタビューのシチュエーションを考えると、
「一本シュートが入ると、自信が湧いてくる」
「シュートが入るたびに、自信は高まっていったよ」
といった訳し方がよさそうだ。
その上でラストの文について考えてみる。
「~and I was happy to keep jacking it」
今回はこの“I was happy to keep jacking it”に注目してより自然な“訳し方”を考えていきたい。
この文をさらに分解していく。
まず“keep jacking it”という部分について、バスケットボールで“jack”という単語が出てきたら「シュートを打つ」という意味になる。keep~ing は 「~し続ける」という文法表現なので、to以下は「シュートを打ち続けた」と訳せそうだ。
ポイントは“Happy”ー「幸せ」?今回の文脈から日本語にするとしたら…
では、その直前に登場する“Happy”という単語。英語が苦手!という人でもさすがにこの単語は知っているはず。日本語に直訳すると、嬉しい/楽しいなど、幸せな気持ちや満足していることなど、喜びを表す表現だ。
- 嬉しかった
- 楽しかった
- 幸せだった
- 満足した
パッと思いつくだけでもこれくらいは出てくる。ではこの場面ではどの表現がしっくりくるだろうか。
通訳者はその場で瞬時に言葉を訳していかなければならない。「どの表現にしようかな〜」なんて迷っている暇はない。筆者がこの場で通訳を担当していたら、おそらくこう言うだろう。
“I was happy to keep jacking it.”
→楽しくシュートを打ち続けたよ。
「あれ?なんだか普通すぎるのでは…」そう思った方もいるのでは?また「自分は選手本人は楽しさよりも満足感を示していると思ったから、“満足した”がいいかなと思った…なんだかしっくりこない…」なんてより踏み込んで感じた人もいるかもしれない。
さらに身も蓋もないことを言ってしまうと、別の通訳者なら「幸せな気持ちでシュートし続けた」と訳すかもしれないし、なかには「ハッピーな気持ちでシュートし続けた」と、横文字のまま伝える通訳者もいるかもしれない。
つまり何が言いたいかといいうと「完璧に“正しい訳”なんて実は存在しないのだ」ということなのだ。
存在しない“100%正解の訳”
まず言っておくと「限られた時間で正確に言葉を訳すこと」が通訳者の仕事だ。しかしその一方で、“これが100%正解の訳だ”というものは存在しないと筆者は思っている。だからこそ、スポーツ通訳は選手の熱量や感情をできるだけ読み取り、その時思うベストな言葉を選択しなければいけないのだ。
スポーツにおける通訳者は、試合後インタビューは勝敗に関係なく実施されることがある。勝者であれ敗者であれ、選手の言葉をただ「意味の通り正確に訳す」だけではなく、選手の感情や試合の流れを汲み取ったうえで適切な日本語を選ばなければならない。これが非常に難しいのだ。
だから“Happy”のように、一見すると簡単に見える単語でも“シチュエーションに合った”訳を導き出すのは難しい。
そして言葉のチョイスと共に気をつけなければいけないのが、“テンポや自分の発声”。勝利者インタビューは会場の盛り上がりや選手の(試合後の)高揚感の中、その状態をキープして進んでいく。だからそんな時に丁寧に訳しすぎて、インタビューのテンポが悪くなるなんて事態にならないようにしなくてはならない。その上で通訳としての自分の声もしっかりと会場の方、もしくは配信で見ている方に届けなければならない。
これが100%正解!というものなんてないのが通訳の世界。だからこそ、より良く伝わる言葉を選ばなければいけない。10人通訳者がいれば、10通りの訳があるのだ。
「さて、あなたならどう訳しますか?」

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