女子ハンドボール日本代表・石立真悠子、ハンドボール人生の最終章へ(後編)
現在、三重バイオレットアイリスに所属するとともに女子ハンドボールの日本代表として活躍する石立真悠子選手。笑顔が印象的な司令塔だ。 「オリンピック出場」という夢に向かって、海外リーグに移籍。しかし思うような答えが出ず、ハンドボールと距離を置くと決め帰国。1度は冷めたハンドボール熱だったが、地元での生活が、彼女の心に変化をもたらす…そして再び夢舞台へ。 これまでのハンドボール人生を振り返りながら、今後の目標、将来へ向けての思いなど石立選手に話を伺った。今回は後編です。
Dairaku Satoshi
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2020/06/30
ー前編はこちらー
――2017年にハンガリーから帰国して、地元の福井に戻られましたね。
石立:福井国体があるため、福井県が強化選手枠としてハンドボールに集中させてくれる環境を作ってくれたんです。それまで、世界のトップレベルで勝つためにハンドボールをしてきました。
その私の経験が、地元の役に立つのであれば嬉しいですし、福井に帰れるので、これまでハンドボールを頑張ってきた「ご褒美」だと思いました(笑)。
――約2年間、福井で過ごして気持ちに変化はありましたか?
石立:だいぶリフレッシュできましたね。福井のチームJJ.GANGは、仕事をしながら趣味でハンドボールをしている人が多かったんです。
ハンガリーやオムロンでは、常に勝ち負けを意識しながら戦っていましたが、JJ.GANGはサークル的な感じで、楽しんでハンドボールをプレーしていました。
私はそれまで理想があって、「トップで居続けるために、こうあるべきである」とか、「勝つために、ここまで自分を追い込まなければいけない」といったものに縛られていたんですが、福井のメンバーと接するうちに「楽しんでプレーする」という、ハンドボールを始めた頃の気持ちを思い出しました。
――大リーグを引退したイチロー元選手が草野球を楽しむのと同じ感覚ですね。
石立:そうですね、まさにそんな感じです。福井では純粋に「ハンドボール、メッチャ楽しいな」と思ってプレーしていましたね(笑)。
そのことが自分的では衝撃であると同時に喜びだったんです。
「もうハンドボールお腹いっぱい」という状況でハンガリーから帰国したのに、自分が追い求めていたオリンピックという夢を、「もう1回追いかけたいな」と自然に思えた…この自然に思えたことが何より嬉しかったんですよ。
落ち込んで帰国して、ハンドボールの楽しさをすごく実感できた福井での1年半は、自分のハンドボール人生の中では無くてならないものですね。
――そして2019年に三重バイオレットアイリスへ移籍。5年ぶりの日本リーグ復帰ですね。
石立:そうです。実は福井国体の前に大きいケガをして、そのリハビリが半年から1年近くかかって、昨年の7月にようやく復帰しました。
通常は9月から開幕するリーグ戦が、昨年12月に熊本で「女子ハンドボール世界選手権」が行われたことで、女子リーグ戦の開幕だけ今年1月になりました。
昨年7月に復帰してから12月の世界選手権まで、私は突っ走り過ぎてしまい、手術した箇所が悪化。チームの試合にあまり出場できませんでした。
今年秋から始まるリーグで気合を入れ直して頑張ろうと思います。
――今年はコロナの影響でプレーオフがありませんでしたし、東京2020も来年に延期になりました。
石立:1,2月は膝の調子が良くなかったので、チームに無理を言って監督にも理解を頂き、3月のプレーオフとオリンピックに向けて試合をセーブしてきましたが…自粛期間もあり、しっかり休んだので調子は良くなりました。
今シーズンは8月29日開幕予定です。
――石立選手は、試合前に行うルーティン的なものはありますか?もしくは試合前に絶対に食べるものとか。
石立:昔はあったんですけど、今試合の前日はチームのメンバー皆で食べる感じですね。
ただジンクス的に、前日チョコレートケーキを食べると調子いいです。普段はケーキ食べないんですけど、大事な試合の前とかは「チョコレートケーキを食べておこう」と(笑)。
――ところで初めてハンドボールを観戦する場合、どこに注目して見れば楽しめますか?
石立:初めて見た人はスピードやダイナミックなところ、身体接触の激しさを見て欲しいと思います。
ちょっと分かってきたら、シュートが決まった時の周りの動きにも注目して欲しいですね。
「なんで今、この選手がシュートを打てたんだろう」とか「周りの選手が身を挺してディフェンスをブロックしているから、シュートを打てたんだ」とか見て欲しいし、そこまで見えてきたら観戦が楽しくなると思います(笑)。
――石立選手の今後の目標を教えていただけますか?
石立:東京オリンピックです。私はハンドボール人生の最終章にいるんですけど…
――そんなこと言わないでください。そんなにハンドボール選手の選手生命は短いんですか?
石立:短いですね。私は今年33歳でチーム最年長、一つ下の選手が29歳になります。ハンドボールはコンタクトスポーツなので、体をかなり酷使しますね。
そしてオリンピック後の目標ですが、私はハンドボールを通して人生が明るくなったとか、人生のスパイスとして自分のことを好きになった、という人を増やしていきたいです。
私はハンドボールって人生を豊かにする、一つのツールだと思っています。
元々、「現役生活を終えたら、ハンドボールは終わり」って考えていました。でも最近、もっと別の捉え方をしています。
――それはハンガリー時代に、子供たちにハンドボールを教えたことがきっかけですか?
石立:それもありますし、1回辞めようと思ったところから、地元福井で改めてハンドボールの楽しさを知ったからですね。
プロリーグやハンガリーで活動している時は、現役選手や周りにいる人しか繋がりがないんです。
でも、そこからちょっと離れて、いろいろな人と接するうちに「この人たちの人生の中でハンドボールって大切なものなんだ」と思うことが多く、「自分が現役を終えたからハンドボール人生終わり」という考え方をしなくても良いのではないかと思えるようになりました。
――その考えの延長にあるのが、石立選手が運営するオンラインショップに繋がるわけですね。
石立:そうです。「INFINITY ONE」というオンラインショップで、チームや個人のトレーニング方法から、指導者・保護者の方に向けてのサロンなどをオンラインで行っています。
ハンドボールに関しての悩みや問題点など課題を抱えている人っていると思います。私も同じように悩みや問題点があり乗り越えて、今の人生があります。
もし、1人で問題を抱えハンドボールを嫌いになるくらいなら、その前に私に相談して欲しい…問題を解決する手助けになれるかもしれない。
ハンドボールを通して自分が受け取ったものを、今度は伝えて行きたい。私とみんなを繋ぐ、とても大切なサイトになれば良いな、と思います。本当に面白いんですよ、ハンドボール(笑)。
――次のシーズン、是非会場で観戦させて頂きます(笑)。最後に、ハンガリーに行っていた時、「オリンピックに出られなかったから熱いものがなくなった」と話していましたが、今はどうですか?
石立:今はめちゃくちゃありますよ。熱さしかないです!戻ってきました(笑)。
<Thông tin>
石立選手に、オンラインで直接指導を受けられるオンラインショップ「INFINITY ONE」は「Đây」から。石立選手がオススメのTシャツやサポーターなどもご覧ください。
石立真悠子選手 Twitter
石立真悠子選手が所属する三重バイオレットアイリスのホームページ
三重バイオレットアイリス Twitter
石立真悠子選手が活躍する日本ハンドボールリーグは「Đây」をご確認ください。
――2017年にハンガリーから帰国して、地元の福井に戻られましたね。
石立:福井国体があるため、福井県が強化選手枠としてハンドボールに集中させてくれる環境を作ってくれたんです。それまで、世界のトップレベルで勝つためにハンドボールをしてきました。
その私の経験が、地元の役に立つのであれば嬉しいですし、福井に帰れるので、これまでハンドボールを頑張ってきた「ご褒美」だと思いました(笑)。
――約2年間、福井で過ごして気持ちに変化はありましたか?
石立:だいぶリフレッシュできましたね。福井のチームJJ.GANGは、仕事をしながら趣味でハンドボールをしている人が多かったんです。
ハンガリーやオムロンでは、常に勝ち負けを意識しながら戦っていましたが、JJ.GANGはサークル的な感じで、楽しんでハンドボールをプレーしていました。
私はそれまで理想があって、「トップで居続けるために、こうあるべきである」とか、「勝つために、ここまで自分を追い込まなければいけない」といったものに縛られていたんですが、福井のメンバーと接するうちに「楽しんでプレーする」という、ハンドボールを始めた頃の気持ちを思い出しました。
――大リーグを引退したイチロー元選手が草野球を楽しむのと同じ感覚ですね。
石立:そうですね、まさにそんな感じです。福井では純粋に「ハンドボール、メッチャ楽しいな」と思ってプレーしていましたね(笑)。
そのことが自分的では衝撃であると同時に喜びだったんです。
「もうハンドボールお腹いっぱい」という状況でハンガリーから帰国したのに、自分が追い求めていたオリンピックという夢を、「もう1回追いかけたいな」と自然に思えた…この自然に思えたことが何より嬉しかったんですよ。
落ち込んで帰国して、ハンドボールの楽しさをすごく実感できた福井での1年半は、自分のハンドボール人生の中では無くてならないものですね。
――そして2019年に三重バイオレットアイリスへ移籍。5年ぶりの日本リーグ復帰ですね。
石立:そうです。実は福井国体の前に大きいケガをして、そのリハビリが半年から1年近くかかって、昨年の7月にようやく復帰しました。
通常は9月から開幕するリーグ戦が、昨年12月に熊本で「女子ハンドボール世界選手権」が行われたことで、女子リーグ戦の開幕だけ今年1月になりました。
昨年7月に復帰してから12月の世界選手権まで、私は突っ走り過ぎてしまい、手術した箇所が悪化。チームの試合にあまり出場できませんでした。
今年秋から始まるリーグで気合を入れ直して頑張ろうと思います。
――今年はコロナの影響でプレーオフがありませんでしたし、東京2020も来年に延期になりました。
石立:1,2月は膝の調子が良くなかったので、チームに無理を言って監督にも理解を頂き、3月のプレーオフとオリンピックに向けて試合をセーブしてきましたが…自粛期間もあり、しっかり休んだので調子は良くなりました。
今シーズンは8月29日開幕予定です。
――石立選手は、試合前に行うルーティン的なものはありますか?もしくは試合前に絶対に食べるものとか。
石立:昔はあったんですけど、今試合の前日はチームのメンバー皆で食べる感じですね。
ただジンクス的に、前日チョコレートケーキを食べると調子いいです。普段はケーキ食べないんですけど、大事な試合の前とかは「チョコレートケーキを食べておこう」と(笑)。
――ところで初めてハンドボールを観戦する場合、どこに注目して見れば楽しめますか?
石立:初めて見た人はスピードやダイナミックなところ、身体接触の激しさを見て欲しいと思います。
ちょっと分かってきたら、シュートが決まった時の周りの動きにも注目して欲しいですね。
「なんで今、この選手がシュートを打てたんだろう」とか「周りの選手が身を挺してディフェンスをブロックしているから、シュートを打てたんだ」とか見て欲しいし、そこまで見えてきたら観戦が楽しくなると思います(笑)。
――石立選手の今後の目標を教えていただけますか?
石立:東京オリンピックです。私はハンドボール人生の最終章にいるんですけど…
――そんなこと言わないでください。そんなにハンドボール選手の選手生命は短いんですか?
石立:短いですね。私は今年33歳でチーム最年長、一つ下の選手が29歳になります。ハンドボールはコンタクトスポーツなので、体をかなり酷使しますね。
そしてオリンピック後の目標ですが、私はハンドボールを通して人生が明るくなったとか、人生のスパイスとして自分のことを好きになった、という人を増やしていきたいです。
私はハンドボールって人生を豊かにする、一つのツールだと思っています。
元々、「現役生活を終えたら、ハンドボールは終わり」って考えていました。でも最近、もっと別の捉え方をしています。
――それはハンガリー時代に、子供たちにハンドボールを教えたことがきっかけですか?
石立:それもありますし、1回辞めようと思ったところから、地元福井で改めてハンドボールの楽しさを知ったからですね。
プロリーグやハンガリーで活動している時は、現役選手や周りにいる人しか繋がりがないんです。
でも、そこからちょっと離れて、いろいろな人と接するうちに「この人たちの人生の中でハンドボールって大切なものなんだ」と思うことが多く、「自分が現役を終えたからハンドボール人生終わり」という考え方をしなくても良いのではないかと思えるようになりました。
――その考えの延長にあるのが、石立選手が運営するオンラインショップに繋がるわけですね。
石立:そうです。「INFINITY ONE」というオンラインショップで、チームや個人のトレーニング方法から、指導者・保護者の方に向けてのサロンなどをオンラインで行っています。
ハンドボールに関しての悩みや問題点など課題を抱えている人っていると思います。私も同じように悩みや問題点があり乗り越えて、今の人生があります。
もし、1人で問題を抱えハンドボールを嫌いになるくらいなら、その前に私に相談して欲しい…問題を解決する手助けになれるかもしれない。
ハンドボールを通して自分が受け取ったものを、今度は伝えて行きたい。私とみんなを繋ぐ、とても大切なサイトになれば良いな、と思います。本当に面白いんですよ、ハンドボール(笑)。
――次のシーズン、是非会場で観戦させて頂きます(笑)。最後に、ハンガリーに行っていた時、「オリンピックに出られなかったから熱いものがなくなった」と話していましたが、今はどうですか?
石立:今はめちゃくちゃありますよ。熱さしかないです!戻ってきました(笑)。
<Thông tin>
石立選手に、オンラインで直接指導を受けられるオンラインショップ「INFINITY ONE」は「Đây」から。石立選手がオススメのTシャツやサポーターなどもご覧ください。
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