「最高のスタジアムとは？」サッカーにおける“理想のスタジアム”を考える

スタジアムと社会の関係性

日常と非日常が交差し、感動や興奮を味わえるサッカースタジアム。ヨーロッパと日本ではスタジアムの数や場所がだいぶ異なるが、成り立ちから大きな違いがあるようだ。

例えばイングランドの場合、その多くがサッカークラブの持ち物だが、好立地については歴史の力でもあるとスポーツライター ベン・メイブリー氏は言う。サッカーの聖地として世界的にも有名なウェンブリー・スタジアムは、今でこそ市街地で他建物と肩を並べているが、建設された100年以上前は周りが畑ばかりだったそうだ。ロンドンが大きくなったのはスタジアムが開業した後になるため、「イングランドの場合はラッキーな部分は間違いなくあると思いますね」とベンは述べる。

スポーツライター小澤一郎氏は、スペインもイングランドに似ていると話す。都市が発展する前からサッカークラブがあったことから、都市開発の中心にスタジアムが盛り込まれていたのだ。

スポーツコメンテーターの北川義隆氏は、イタリアについて「専用スタジアムっていうのは市の許可なくしては作れないので、そこには利権が絡んでなかなか大変なんですよね」と語る。また、「遺跡が発掘されると工事が止まる」といったイタリアならではの事情も明かした。

日本の場合、スタジアムは自治体の持ち物であり、改装にしても新しく建築するにしても議会の承認が必要。その点ではイタリアに近いものがあるのかもしれない。しかし、うまく税金を使わずに建てた珍しいスタジアムもある。それがパナソニックスタジアムだ。ガンバ大阪が主体となり、助成金と寄付金を合わせて約140億円で建設。最終的には吹田市に寄付するが、公費を使わずに作られたサッカー専用スタジアムとして先進的な事例だ。自身も寄付をしているベンは、「ガンバがこんな安くこんないいスタジアムを建てている。もっと広く参考にしてもらいたいなと思いました」と語った。

評判の良いスタジアムの条件

海外ではどんなスタジアムが好まれているのか。まず大前提となる「試合の見やすさ」を説明するため、ベンは「KOP」に言及。KOPとは、熱狂的なリヴァプールサポーターを指す場合もあるが、傾斜の急なスタンドを指す言葉でもある。イングランドではこのKOPが好まれ、中でもドルトムントやリヴァプールが好評のようだ。

スタジアムの規模も見やすさに大きく影響する。小澤はスペインのアトレティコ・マドリードのホームスタジアムを例に挙げ、今の約7万人収容できるメトロポリターノより、以前の約5.5万人収容のビセンテ・カルデロンの方が見やすかったと言う。「とにかく選手が手で触れるぐらいの距離で見れるようなスタジアムが1番見やすくて快適で非日常を味わえる」と、2～3万人規模のスタジアムが理想なのではと持論を述べた。

スポーツコメンテーター 桑原学氏は、規模感だけでなく「サッカー専用っていうのは何よりも一番大事な条件ですよ」ときっぱり。陸上競技場を兼ねるとピッチの周りをトラックで囲われるため、どうしてもスタンドからピッチが遠くなってしまう。その点、トラックのないサッカー専用スタジアムなら臨場感も楽しめるのだ。

また、「スタジアムへのアクセス」や「外からの見た目」も重要な要素になる。日本の国立競技場がそれを証明しており、実際に国立開催の試合は集客率が高い。ふらっと行けるアクセスの良さやアートを感じさせる美しい外観が、ライトなファンでも足を運びたくなるのだろう。

理想のスタジアム像を考える

ここまでの流れを踏まえ、「場所」「収容人数」「外観」「周辺施設」といった項目で理想のスタジアム像をまとめてみる。

場所については、郊外で無料のシャトルバスを走らせるという手もあるが、国立競技場がある東京都新宿区霞ヶ丘町がベスト。収容人数はチケットが完売するかどうかのギリギリのラインで3万人。外観は木材を使用した和のイメージで、外国人観光客に受けるデザインにして観光スポット化も意識する。周辺施設としてはスタジアムにカフェを併設し、試合がない日にもコーヒーを飲む感覚で集まれる憩いの場を目指す。

理想のスタジアム像がまとまったところで、最後に桑原はこのように期待を込めて語った。

「僕が一番思うのは、成功してほしい。今作っているスタジアムが成功してクラブが潤うことで、『じゃあうちもやろうか』って手をあげるところが増えることに繋がってほしい」

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*Thông tin trong bài viết này đã được biên tập và phát hành dựa trên nội dung tại thời điểm phát sóng.