
「オーリーを決めたい」から始まるアキオの物語。スケートボードの楽しみ方に触れる「SK8R’S」
2021年に開催された東京でのオリンピックから競技として採用され、2024パリでも多くの日本人メダリストを生み出したのが「スケートボード」だ。特に10代の選手の活躍も話題を集め、スケートボード競技へ多くの人の視線が注がれることとなった。スケートボードといえばストリートが発祥で、少し近寄りがたいイメージを持っている人もいるかもしれない。今回はそんなスケートボードを扱った漫画「SK8R‘S」(スケーターズ)を取り上げたい。※トップ画像/筆者撮影

「師匠」のトリックに魅せられてスケートボードの世界へ
「SK8R’S」は2014年に「月刊スピリッツ」上で連載がスタートし、単行本は3巻まで発売されているものの、現在は長く休載が続いており、再開を待つファンも多い。
物語は主人公のアキオが小学生のころから始まる。住民がそろって「ローカル(田舎、的な意味)」と表現する街に住むアキオは、通学路で「空中に浮く」男を見かける。よく見れば彼はスケートボードに乗ってトリック(技)を決めているところだった。ドレッドの長髪にスケートボード。それまでアキオが暮らしてきた街にはいない大人の姿に「ヤバイ奴かも」と思いながらも、「乗る?」と声をかけられたことからアキオはスケートボードに挑戦することになる。
アキオを魅了したのは、スケートボードのトリックの基本であり、起点ともなる「オーリー」。ボードとともに空中へ浮かび上がるその技を習得するために練習に励むが、その途中で「師匠」は海外に行くと告げて愛用のボードをアキオに託し、街を去る。アキオはその男のことを「師匠」と呼び、本名を知ることはなかったが、高校生になったアキオはずっと練習を続け、オーリーも簡単にこなし、さまざまなトリックを独学で身につけていく。
スケートボードを介してアキオを取り巻く人の輪が広がっていく
アキオは父を事故で亡くしている。そのために母はアキオに「危ないことはしないように」と厳しく言い聞かせ、スケートボードも禁じられてしまう。それでも夜中に家を抜け出して街を走り、アキオは技を磨いていた。
転校生の富久助(ふくすけ)はぽっちゃり体型ながらもスケートボードのトリックやスケーター、それらを起源とするファッションやカルチャーに詳しく、アキオともスケートボードをきっかけに親しくなる。
高校生になると、アキオのトリックを富久助が撮影してネットにアップロードするなどの活動も行うようになる。デッキのメンテナンスに通うショップのオーナーや、アキオと富久助がスケートボードに夢中なことに感づいている女子生徒など、スケートボードをきっかけとしてアキオの周囲には人が集まる。スケートボードで「生活する」ためには大会に出場して成果を残したり、知名度を上げたりしながらスポンサーをつける必要がある。富久助は親友のテクニックを発信したいのと同じくらい、その親友がスケートボードの選手として大成することを願い、信じている。実際に、それらの動画からアキオと富久助を取り巻く人の輪も広がっていく。国内の大会で好成績を残す水賢(スイケン)や、スケートボードの撮影が趣味の鶴子と歩(アルク)など、スケートボードを介してつながる人間関係が多く描かれる。
初心者OK!トリック解説も充実の「SK8R’S」
「SK8R’S」では、アキオたちが挑むトリックの名前も丁寧に解説がなされる。迫力がありながらも静かさを感じさせる絵柄でトリックの「カッコよさ」をしっかりと描き出し、どのような動作が行われているのかも図解されるため、スケートボードに触れたことがない初心者でも解説動画を見ているような感覚でトリックへの理解を深められる。
アキオはやがて大会にも出場するが、その雰囲気は他の多くのスポーツからイメージされるような緊張感に満ちたものではない。出場者もギャラリーの一人のように競技を観戦し、難易度の高いトリックを決めた選手には惜しみない賛美の拍手をおくる。2020東京や2024パリで見られたような、選手同士が励まし合ったりお互いを認め合ったりといった文化は、スケートボードの文化のなかで長く受け継がれてきたものなのだと感じることができる。
アキオの街にはスケートボードのためのセクション(構造物)を備えた「パーク」がない。練習場所は常にストリートで、そこにある手すりや階段、坂道といった構造物を使ってトリックの練習をしてきた。
「好きな場所で好きな恰好で好きにメイクする。可能性は無限だ」
アキオの「師匠」は去り際、彼にそう教える。作中でもアキオの姉は「不良の遊び」だと断じるが、スケートボードの原点は「自由であること」ではないか。小学生でスケートボードを始めたアキオも、プロになるのかどうかはまだわからない。師匠もまた、どんな半生をたどってきたのかは明かされていない。その自由さこそがスケートボードの魅力の核をなす大切な要素であり、他のスポーツとはまた異なった面白さを伝えてくれる要因なのかもしれない。

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