2024年ドラフト会議、各球団の傾向と選手指名の理由とは【パ・リーグ編】
2024年のプロ野球ドラフト会議が10月25日に行われ、育成枠を含めると123名(支配下69名・育成54名)の選手が、新たにプロ野球選手としてのスタートラインに立つこととなった。ここでは2024年の12球団の事情を鑑みながら、期待の新人選手をご紹介していきたい。※トップ画像/筆者撮影

6位/埼玉西武ライオンズ
49勝91敗3分/勝.350
2024年の埼玉西武ライオンズは、史上稀に見る低迷に苦しみ、一時は100敗の可能性も囁かれたほど。まさかの最下位に沈んだチームを西口文也新監督が立て直すこととなるが…。そのためにはチーム打率.213、総得点350でいずれも両リーグ最下位に終わった得点力の強化をなくして、上位進出を果たすことはできないだろう。
1位では宗山塁と石塚裕惺を外した西武が指名したのは、身体力に優れた内野手の齋藤大翔だった。西口監督は、今季まで二塁を守っていた外崎修汰のコンバートを示唆しているが…。2019年にはリーグ連覇を成し遂げた源田壮亮、外崎に代わる内野の要を育て、次世代のチームづくりに舵を切ったことが伺える。
2位の渡部聖弥(大商大)は、三塁と外野をこなす器用さを備えた走攻守揃った野手で、一時はドラフト1位候補と言われたほど。渡部聖弥の獲得によって、岸潤一郎、西川愛也らの候補はいるものの、固定には至っていない現状の改善につながることが期待される。
そして4位の林冠臣、6位の龍山暖、7位の古賀輝希あたりも打撃に見どころのある選手が揃った。かつての山賊打線のような破壊力を再び手にすることができるのか。常勝球団の捲土重来に注目したい。
一方で、隅田知一郎や今季新人王の武内夏暉らを擁する投手陣では、3位の狩生聖真、5位の篠原響が指名された。いずれも高校卒で素材型と言われるタイプの選手だが、その将来性が楽しみな人材だ。数年後の西武ライオンズを支えるスターの誕生を心待ちにしたい。
指名リスト
1位:齋藤大翔/内野手/金沢高
2位:渡部聖弥/外野手/大阪商業大学
3位:狩生聖真/投手/佐伯鶴城高
4位:林冠臣/外野手/日本経済大学
5位:篠原響/投手/福井工業大学附属福井高
6位:龍山暖/捕手/エナジックスポーツ高
7位:古賀輝希/内野手/千曲川硬式野球クラブ
※1巡目(第1回): 宗山塁内野手で東北楽天、広島東洋、北海道日本ハム、福岡ソフトバンクと重複、抽選で外れる
※1巡目(第2回): 石塚裕惺内野手で読売と重複、抽選で外れる
育成1位:冨士大和/投手/大宮東高校
育成2位:佐藤 太陽/内野手/神奈川大学
育成3位:ラマルギービン ラタナヤケ/内野手/大阪桐蔭高校
育成4位:佐藤 爽 投手/星槎道都大学
育成5位:澤田 遥斗/外野手/京都国際高校
育成6位:福尾 遥真/内野手/学校法人石川高校
育成7位:ウメビンユオ オケム明/外野手/旭川志峯高校
5位/オリックスバファローズ
63勝77敗3分/勝率.450
2023年までは3連覇を成し遂げたものの、吉田正尚に続き山本由伸のMLB移籍などもありチームは低迷。今季で退任した中嶋聡氏に変わり岸田護新監督がチームを率いる2024年は捲土重来を期したい。
山本由伸が抜けた投手陣に目が行きがちだが、2024年のチーム防御率は2.82と、そこまで悪化しているわけではなく、どちらかというとチーム打率.238、本塁打数71本(101→71本)でいずれもリーグ5位。一昨年から100点以上(508→402点)も得点が減少した攻撃力に課題を抱えている。
麦谷祐介 外野手(画像提供/オリックスバッファローズ)
ドラフト1位で入団が決まった麦谷祐介。背番号8を背負うことが発表された。
ドラフト1位ではアマチュア野球屈指の右打者の西川史礁は逃したが、その代わりに走攻守の揃った外野手の麦谷祐介(富士大学)と、捕手でありながらも脚力と打撃に優れた山中稜真 (三菱重工East)を指名。センターラインの強化に期待が持たれる。
寺西成騎 投手(画像提供/オリックスバッファローズ)
投手陣に目を向けると、2位で寺西成騎(日本体育大学)、3位はまだ投手としての経験が浅いながらも、高いポテンシャルを秘める山口廉王(仙台育英)を指名。あえていうなら、寺西の怪我が多いことが懸念材料だが、いずれの投手も活躍が期待できるだろう。
そして5位と6位では、オリックスの補強としてお馴染みになりつつある東山 玲士(ENEOS)、片山楽生(NTT東日本)と、実力派の社会人出身投手を指名した。3連覇を成し遂げた時のような盤石な投手陣の再整備にも期待が持たれる。
指名リスト
1位:麦谷祐介/外野手/富士大学
2位:寺西成騎/投手/日本体育大学
3位:山口廉王/投手/仙台育英学園高校
4位:山中稜真/捕手/三菱重工East
5位:東山玲士/投手/ENEOS
6位:片山楽生投手/NTT東日本
※1巡目: 西川史礁外野手で千葉ロッテと重複、抽選で外れる
育成1位:今坂幸暉/内野手/大阪学院大学高校
育成2位:清水武蔵/内野手/栃木ゴールデンブレーブス
育成3位:上原堆我/投手/花咲徳栄高校
育成4位:寺本聖一/外野手/広島経済大学
育成5位:田島光祐/捕手/信濃グランセローズ
育成6位:乾健斗/投手/霞ヶ浦高校
4位/東北楽天ゴールデンイーグルス
67勝72敗4分/勝率.482
明治大の宗山塁には5球団の指名が集中した(筆者撮影)
チーム初の交流戦優勝を成し遂げたものの、Bクラスに沈んだ東北楽天は、昨季就任したばかりの今江敏晃監督が退任し、2度目の就任となる三木肇監督がチームを率いることとなった。
5球団が1位で指名した宗山塁(明治大)の交渉権を獲得できたことが、まずは何よりの成果と言えるが、全体的に見ると高齢化が進む主力選手の世代交代を意識しているように感じさせた。
来季の戦力に目を移すと、長年にわたりチームを支えた田中将大の退団が決定。先発を支えた岸孝之は39歳、クローザーに転向し、自身初のセーブ王を獲得した則本昂大が33歳と、投手陣の高齢化が顕著だ。
かつてのドラ1で初の2桁勝利(11勝)を挙げた早川隆久や、1年目ながら5勝(8敗)の古謝樹らのさらなる飛躍にも期待が持たれるが、2年前のドラフト1位の荘司康誠がわずか1勝に終わるなど、投手陣の整備は急務と言える。
そのような状況下で、環太平洋大の速球左腕の德山一翔や独立の徳島で43試合に登板し、リリーフながらも規定投球回に到達した中込陽翔、そして日鉄ステンレスの江原雅裕を指名した点は、現状の打破につながりうると言える。徳山はフルシーズンに投げたことがないことがあえて言うならば不安材料だが……。中堅層の伸び悩みが目立つチームに新たな風を吹かせてくれることになるはずだ。
そして今季は辰己涼介、小郷裕哉らの外野手の台頭は見られた野手陣においても、世代交代は重大なテーマになるだろう。FAで獲得した浅村栄斗、鈴木大地といった選手たちが30代半ばに差し掛かり、FA権を獲得した茂木栄五郎の去就が不透明な中、チームが飛躍を目指すために若手選手の飛躍は必要不可欠だ。
今季独り立ちした村林一輝の起用ポジションについては考える余地がありそうだが、宗山塁はチームを主軸として長年にわたり活躍することになるだろう。スピードに長けた陽柏翔も、実践経験を積みながら存在感を示していってほしい。
そし宗山と同じ東京六大学でプレーをした早稲田大の吉納翼は、長打力が魅力の左打者で、今季リーグ4位の72本塁打に終わった打線の起爆剤となりうる可能性を秘めている。将来的には今季40試合の出場に終わった島内宏明のような活躍を期待したいところだ。
チームの陣容が大きく変わることになる楽天の来季に注目だ。
指名リスト
1位:宗山塁/内野手/明治大学
2位:德山一翔/投手/環太平洋大学
3位:中込陽翔/投手/徳島インディゴソックス
4位:江原雅裕/投手/日鉄ステンレス
5位:吉納翼/外野手/早稲田大学
6位:陽柏翔/内野手/茨城アストロプラネッツ
育成1位:岸本佑也/内野手/奈良大学附属高校
3位/千葉ロッテマリーンズ
71勝66敗6分/勝率.518
昨季3位のロッテだが、今秋に初の10勝を挙げた佐々木朗希投手がポスティングによるMLB移籍を表明。12勝の小島和哉、種市篤暉、西野勇士らが揃っているが、佐々木の抜けた穴をどうするのかが直近の課題になりそうだ。
支配下では3位の一條力真(東洋大学)、4位では夏の甲子園で準優勝の坂井遼 (関東第一)、5位で廣池康志郎(東海大学九州キャンパス)の3名を指名したが、リリーフに特性がありそうな印象を受ける。FA、もしくは新外国人選手の獲得で補強を進めていく可能性もありそうだが、新人選手の陣容を見る限り、さまざまな投手をやりくりしてきた吉井理人の手腕が問われることになりそうだ。
そして、ロッテの戦いを苦しめているのが、得点力不足だ。本塁打は75本でリーグ3位だが、ポランコが23本、ソトが21本放っている点を考慮すると、2人以外の長距離砲の育成は急務と言える。
ドラフト1位で指名した青山学院の西川史礁。高い打撃能力をプロでも発揮できるだろうか?(筆者撮影)
その点では、右方向に大きい打球を打て、走攻守に優れた西川史礁の獲得はとても大きいと言えるだろう。
また2位で指名した宮崎竜成(ヤマハ)はバランスの取れた左の内野手で、30代に差し掛かった藤岡裕大、中村奨吾といった面々の世代交代を考慮したものと言えそうだが…。
そして6位の立松由宇は捕手としてキャリアを積んできたが、日本生命入社後に打力を生かすために内野手にコンバートされた経験を持っている。海から吹く風の影響などもあり、日本人本塁打打者が育ちにくい傾向はあるが、新戦力が攻撃力の上積みになることを期待したいところだ。
指名リスト
1位:西川史礁/外野手/青山学院大学
2位:宮崎竜成/内野手/ヤマハ
3位:一條力真/投手/東洋大学
4位:坂井遼/投手/関東第一高校
5位:廣池康志郎/投手/東海大学九州キャンパス
6位:立松由宇/内野手/日本生命
※1巡目:オリックスと重複、抽選で確定
育成1位:谷村剛/内野手/和歌山東高校
育成2位:茨木佑太/投手/帝京長岡高校
育成3位:長島幸佑/投手/富士大学
2位/北海道日本ハムファイターズ
75勝60敗8分/勝率.556
新庄剛志監督の元、初めてAクラス入りを果たした日本ハムファイターズは、素材型の選手が揃うドラフトとなった。
宗山の交渉権は外したが、MAX149kmの速球派投手で、高校通算19本塁打を放った柴田獅子を1位で指名。大谷翔平と同じく「二刀流」にも意欲を見せる柴田がどのような選手に育つのか。ファンのみならず楽しみな方も多いのではないだろうか。
2位の藤田琉生、4位の清水大暉も長身から投げ下ろされる速球が魅力の投手で、左右の二枚看板としてチームを担えるポテンシャルを持つ人材だ。
明治大ではリリーフを中心に投げた浅利太門(筆者撮影)
そして大学生ではドラフト3位の浅利太門(明治大)、6位で山城航太郎(法政大)と荒削りながらも光るものがある速球派の投手を指名。いずれもリリーフで存在感を示してきたが、日本ハムではどのような投手に育っていくのだろうか。
そして宗山を外した遊撃手には、同じ東京六大学で守備力に定評のある山縣秀を指名した。偏差値70を超える早大学院から早稲田大学野球部の門を叩いた知性派の個性派が揃うチームでの飛躍に期待したい。
指名リスト
1位:柴田獅子/投手/福岡大学附属大濠高校
2位:藤田琉生/投手/東海大学付属相模高校
3位:浅利太門/投手/明治大学
4位:清水大暉/投手/前橋商業高校
5位:山縣秀/内野手/早稲田大学
6位:山城航太郎/投手/法政大学
※1巡目(第1回):宗山塁内野手で埼玉西武、東北楽天、広島東洋、福岡ソフトバンクと重複、抽選で外れる
※1巡目(第2回): 福岡ソフトバンクと重複、抽選で確定
育成1位:川勝空人/投手/生光学園高校
育成2位:澁谷純希/投手/帯広農業高校
1位/福岡ソフトバンクホークス
91勝49敗3分/勝率.650
今季パ・リーグ優勝を成し遂げるも、横浜DeNAベイスターズに下剋上を許し、日本一を逃したホークスは、1位指名で宗山塁、柴田獅子を外した後に村上泰斗(神戸弘陵高)の交渉権を獲得した。昨年のドラフト1位の前田悠伍とともに、将来のローテーション投手としての活躍が期待される。
宗山を逃した遊撃のポジションには、走力に優れた庄子雄大(神奈川大)と、高校通算64本塁打の宇野真仁朗(早稲田実業)、広角に打ち分ける打撃が魅力の石見颯真(愛工大名電)を指名した。今宮健太らが30代中盤に差し掛かっていることから、次世代のホークスを支える役割が求められることになるだろう。
3位の安德駿(富士大学)や6位の岩崎峻典(東洋大学)は速球を武器にリリーフでも活躍してきた投手だが、先発での起用を示唆するスカウトのコメントも散見されており、どのような投手に育成していくのか、来季の起用法に注目したい。
指名リスト
1位:村上泰斗/投手/神戸弘陵高校
2位:庄子雄大/内野手/神奈川大学
3位:安德駿/投手/富士大学
4位:宇野真仁朗/内野手/早稲田実業
5位:石見颯真内野手/愛知工業大学名電高校
6位:岩崎峻典/投手/東洋大学
※1巡目(第1回):宗山塁内野手で埼玉西武、東北楽天、広島東洋、北海道日本ハムと重複、抽選で外れる
※1巡目(第2回): 柴田獅子投手で北海道日本ハムと重複、抽選で外れる
育成1位:古川遼 投手 日本学園高
育成2位:曽布川ザイレン 内野手 浜松商業高
育成3位:大友宗 捕手 茨城アストロプラネッツ
育成4位:広瀬結煌 内野手 市立松戸高
育成5位:河野伸一朗 投手 宮崎学園高
育成6位:川口冬弥 投手 徳島インディゴソックス
育成7位:津嘉山憲志郎 投手 神戸国際大学附属高
育成8位:相原雄太 投手 仙台大学
育成9位:岡田皓一朗 投手 大阪商業大学
育成10位:漁府輝羽 外野手 東北福祉大学
育成11位:木下勇人 外野手 千葉経済大学附属高
育成12位:熊谷太雅 投手 東陵高
育成13位 塩士暖 投手 門前高
※記事内の情報は配信時点の情報です(2024年11月現在)

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